通販サイトのスピード10%改善で売上はいくら上がるか

「通販サイトのスピードを改善すると売上が上がる」という話はよく聞きます。でも、具体的にどれくらい上がるのか? この問いに答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。
「1秒速くなる」とは、誰にとっての1秒?
サイトスピードの改善を語るとき、「1秒速くなった」という表現をよく見かけます。しかし、この「1秒」には大きな落とし穴があります。
ページの表示速度は、ユーザーによって大きくばらつきます。端末の性能、ネットワーク環境、サーバーの状態、ページの種類──これらの要因が複雑に絡み合い、同じサイトでも1秒未満で表示される人もいれば、5秒以上かかる人もいます。
つまり「1秒の改善」といっても、それはある特定の環境での1回の観測値に過ぎません。何秒から何秒への1秒なのかによって、意味は大きく変わってくるのです。
改善度合いは「秒」ではなく「%」で考える
スピードの改善度合いを一つの指標で表現するなら、「秒」ではなく 「%」 を使うことをおすすめします。
10%のスピード改善とは、どういうことか。1秒だった体験が0.9秒に、5秒だった体験が4.5秒になる──すべてのユーザーに対して一律に速くなるということです。これなら、環境によるばらつきに左右されず、改善の度合いを正しく評価できます。
では仮に、10%のスピード改善で、売上はどれくらい上がるのでしょうか?
14サイトのデータから見えた「中央値9%」
弊社が提供する「Speed is Money」では、協力いただいた14の通販サイトのデータをもとに、スピード改善による売上増をシミュレーションしました。
結果は興味深いものでした。10%のスピード改善に対して、売上上昇の幅は5%から25%まで──サイトによって大きな開きがあったのです。
ただし、中央値を取ると約8.8%(およそ9%)の売上上昇という結果になりました。

このグラフを見ると、スピード改善率(横軸)に対して、売上上昇率(縦軸)がほぼ直線的に伸びていることがわかります。5%、10%、15%と改善が進むにつれて、収益増も比例して大きくなる傾向が見られます。
この14サイトの調査についての詳細は、以下の記事にまとめています。
なぜサイトによって効果が違うのか
5%から25%という幅の違いは、何によって生まれるのでしょうか。鍵となる要因は2つあります。
1つ目は、現時点でどれくらいフラストレーションを与えているか。
今まさにサイトが遅く、多くのユーザーが不満を感じて離脱しているサイトほど、改善したときの伸びしろは大きくなります。逆に、すでにある程度快適に使えているサイトでは、スピードが離脱の主因になっていないため、改善効果は限定的です。
2つ目は、扱っている商品の魅力度──ユーザーの買い物にかける熱意です。
強いブランド力やロイヤリティを持つサイト、あるいは「ここでしか買えない」商品を扱うサイトでは、多少遅くても「どうしても欲しい」という動機でユーザーは待ってくれます。一方、他のモールや競合でも買えるようなコモディティ商品を扱うサイトでは、スピードの遅さが直接的に離脱につながりやすいのです。
この2つの軸──「現在のフラストレーション」と「商品への熱意」──の掛け合わせが、サイトごとのスピード改善効果の違いを生んでいると考えられます。
年間1億円の売上なら、900万円の増収が目安
これらを踏まえて、一つの目安を示すとすれば──
10%のスピード改善で、約9%の売上上昇
たとえば年間売上1億円のECサイトなら、10%のスピード改善によって年間約900万円の増収が見込める計算です。高速化にかかるコストがこれを下回るなら、その投資は十分にペイするといえるでしょう。
もちろん、これはあくまで統計的な中央値です。自社サイトでの効果は5%かもしれないし、25%かもしれない。正確な数字を知るには、実際にアクセス解析を行い、自社サイト固有のデータでシミュレーションする必要があります。
自社サイトの「伸びしろ」を確認する
Speed is Moneyを使えば、自社サイトにおけるスピードとコンバージョン率の関係を詳細に分析できます。そして、5%・10%・15%のスピード改善を実現したときに、どれくらいの売上増が見込めるかをシミュレーションすることも可能です。
「うちのサイトはどれくらいの伸びしろがあるのか?」──その問いに対する答えは、データの中にあります。
Speed is Money
サイトスピードと収益の関係を可視化する無料アクセス解析ツール。自社サイトのデータで高速化による収益増をシミュレーションできます。